著者: 荒木 博行

概要


幼い頃から、「努力」しなさいと言われ続けてはこなかっただろうか?この「努力」が報われた経験の人は、ここにどのぐらいいるだろうか?大きな声で言うことはできないが、あまり多くはないだろう。しかし、巷では「努力持論」のような努力至上主義といったものがささやかれている。自分では、「努力」しているのに認められない。それは「努力」が足りないといわれる。これは、「努力」の仕方が間違っているからなのかもしれない。「努力」とは何だろうか?構造化していくことで、多くのことが明らかになっていくだろう。選択肢は無限大で、遠回りのものもあれば近道のものもある。必ずしも近道だけが正解ではないが、がむしゃらに遠回りに行くのも正解ではないだろう。その選択をより良いものにしていく。ここではそれを話していこう。

章ごとの概要


第1章 「努力」を構造化する

まず、「努力」を行うには必要なものがある。「目標」だ。目標を立てることで、ゴール、すなわち「報酬」が何であるかが定まる。目標が定まった後は、実際に努力を行っていくフェーズになる。

ただし努力といっても一様ではなく、4つに分類することができる。「量の努力」「質の努力」「設計の努力」「選択の努力」だ。一つずつ簡単に説明していく。

「量の努力」とは、費やす時間や回数を増やす行為であり、「質の努力」とは、同じ時間でより高い成果を出すためにやり方を磨く行為だ。この2つは想像しやすいだろう。

「設計の努力」とは、目標に立ち返って俯瞰的に思考を深める行為を指す。今していることは、目標から逸脱していないかどうかを問う努力である。

「選択の努力」とは、そもそもの目標を選ぶ行為を指す。その目標が、本当に自分にとって正しいものなのかを問い直すことだ。

この4つの努力をバランスよく行っていくことで、目標に一歩ずつ近づいていくのだ。

第2章 「報酬」を類型化する

「努力」をしても報われない経験はないだろうか。しかし、その「努力」には思わぬ副産物があるかもしれない。

例えば、テストで90点を取ることを目標にして「努力」をしていたと仮定する。テストの範囲の勉強を行うという形で、「量の努力」を行う。しかし結果として、90点を取ることはできなかった。確かに、目標に達することができなかったのだから、報われなかったと感じるかもしれない。だが、その過程で、公式のあてはめ方などは自分に身についていくことになる。これは、当初の目標とは別に得られた、「努力」の副産物である。結果として、思いがけない財産となるわけだ。

このように、「努力」によって得られるものは一つではない。目標として設定した「報酬」と、意図せず手に入る副産物。この2つを分けて捉えることが、「報酬」の類型化だ。

そして、この副産物というのは非常に面白い。時に、本来の目的を忘れ去らせてしまうからだ。

サッカーがうまくなりたくて、サッカーをプレイし続け、プロ選手にまでなったとする。そこでは、ちやほやされるだろう。ここでの本来の目標は、サッカーがうまくなることだ。そして、サッカーがうまくなることで、お金や名声といったものも得られる。これが副産物である。

この副産物が大きくなりすぎると、副産物こそが本来の目標になってしまいかねない。うまくなるためにプレイしていたはずが、お金や名声のためにプレイするようになるのだ。こうなると、お金や名声が頭打ちになった瞬間に、プレイする理由そのものが失われてしまう。かつては「うまくなること」自体が「努力」を支えていたのに、その支えを手放してしまっているからだ。これが、アンダーマイニング効果だ。

こうならないためにも、「選択の努力」が必要になる。自分が本当に求めている目標は何なのか。目標と副産物をしっかりと区別したうえで、「努力」を継続することが必要になるのだ。

さいごに


この本を読んでの感想

自分はこれまで基本的に努力を続けてきて、何かしらの形で報酬を得られてきた経験があったため、努力というものに不信感を抱いたことはありませんでした。しかし周囲を見渡すと、努力ができていないのだろうなと感じる人がたくさんいます。課題を締め切りギリギリまで提出せず、単位を落としてしまう人などです。その人たちにとって、努力とは報われないものなのだろうか。彼らが何を感じているのかを知るきっかけとして、本書を手に取りました。

読んでみて、確かに目標がしっかりと設定できていない、設計の努力が足りていないなど、これまで肌で感じていたことが言語化されており、とても納得できました。

一方で、自分自身についても考えさせられました。自分が努力を報われるものだと信じていられるのは、たまたま報われる経験を重ねてこられただけかもしれません。同じ量の努力をしても報われなかった人が、努力そのものを信じられなくなるのは、むしろ自然なことです。そう考えると、本書の枠組みは他人を分析するためのものというより、自分がこの先つまずいたときに立ち返るためのものだと感じました。

自分としても、努力ができずに結果を出せないまま腐っていきたくはありません。本書で紹介されていたとおり、努力を構造化し、報酬はしっかりと受け取りつつも目標を見失わない。そうしたフェーズを理解しながら物事に向き合っていきたいと思います。

この本のおすすめ度(☆3)

何かしらの形で努力ができている人にとっては、あまり読む必要のない本かもしれません。すでに感覚として掴んでいることが、言語化されているだけだからです。ただ、努力ができていないと感じている人や、努力が報われないと感じている人にとっては、自分の努力のどこが噛み合っていないのかを点検する道具になるはずです。その意味で、読む価値のある一冊だと思います。

投稿者 marumoto tokito

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です