著者: 谷崎 玄明
概要
スマホやテレビを見ていたら、いつの間にか夜の9時になっていた。そんな経験はないだろうか?もっと時間があれば、勉強も副業も頑張ることができるのに。そう思いながら、あっという間に一日が過ぎ去っていく。そして、死ぬときに「もっと〇〇しておけばよかった」と後悔したくはない。誰しもが後悔しないために、日々一生懸命に頑張っている。それでも、時間の進みは速い。では、なぜ時間はあっという間に過ぎ去ってしまうのだろうか?それは、我々が「今ここ」を生きていないからなのかもしれない。著者は、公認会計士として働きながら、原始仏教や哲学をもとに「幸せに生きるための方法」を追究している人物だ。なんでもない今日という日を、かけがえのない一日として過ごす。ここではそれを話していこう。
章ごとの概要
第1章 時間と貨幣
時間とお金は、よく似ていると言われる。「時は金なり」ということわざがあるように、時間はお金と同じように「使う」ものだと考えられている。著者は、「資本市場の番人」と呼ばれる公認会計士として働いている。そんな著者だからこそ、時間とお金の違いに注意しなければならないと言う。
お金は、失っても働けば取り戻すことができる。貯金をして、後で使うこともできる。しかし、時間はどうだろうか?一度過ぎてしまった時間は、二度と取り戻すことができない。そして、貯めておくこともできない。時間をお金と同じ感覚で扱ってしまうと、「今は我慢して、後で楽しもう」と、今という時間を未来のために差し出し続けることになってしまう。これが、時間とお金を同じものとして考えることの落とし穴だ。
第2章 時間と川の流れ
時間とは、そもそも何なのだろうか?我々は、時間を過去から未来へと流れていく川のようなものとして捉えている。この時間のありのままの姿について、ブッダや曹洞宗の開祖である道元禅師も考えを深めていた。
道元禅師は、時間は存在と切り離されたものではなく、今この瞬間に存在していることそのものが時間であると考えた。つまり、過去も未来も、実際に存在しているのは「今」だけなのだ。我々が後悔している過去は、もう存在しない。我々が不安に思っている未来も、まだ存在しない。存在しないものに心を奪われて、唯一存在している「今」をおろそかにしてしまっている。ここで、一度立ち止まって、時間の流れを実感してみることが大事になる。
第3章 時間と命
時間と切っても切れない関係にあるものがある。「命」だ。我々に与えられている時間とは、すなわち命そのものである。
ブッダには、「四門出遊」という話がある。王子として何不自由なく暮らしていたブッダは、城の4つの門から外に出かけた際に、老人、病人、死者、そして修行者に出会った。そこで、人は誰しも老い、病み、死んでいくということを知り、出家を決意したのだ。
また、幼い子を亡くしたキサーゴータミーという女性の話もある。子を生き返らせてほしいと願う彼女に、ブッダは「一度も死者を出したことのない家から、芥子の種をもらってきなさい」と告げた。彼女は家々を回ったが、そのような家は一軒もなかった。そこで彼女は、死は誰にでも訪れるものだと悟ったのだ。
人は、必ず死ぬ。頭ではわかっていても、我々は普段そのことを忘れて生きている。しかし、命に限りがあると意識したとき、何気ない今日という一日が、かけがえのないものに変わっていくのだ。
第7章 一日一生という生き方
過去の失敗や嫌な出来事を、何度も頭の中で繰り返し思い出してしまうことはないだろうか?これを「反芻思考」という。反芻思考は、うつ病やその他の精神的な苦痛を生じさせる原因にもなる。
そこで必要になるのが、「一日一生」という生き方だ。一日を一生のように生きる。朝起きたときに生まれ、夜眠るときに一生を終える。そう考えることで、昨日の後悔は昨日で終わり、今日は気持ちを新たに歩み始めることができる。一日ごとにリセットをすることで、反芻思考から抜け出すことができるのだ。
さいごに
この本を読んでの感想
自分は就活をする年齢になり、就活のことや、その先の将来について不安を感じることが増えてきました。このまま毎日を過ごしていて良いのだろうか。そう感じていたときに、本書を手に取りました。
読んでみて特に印象に残ったのは、最初の時間とお金の話です。時間を無駄にする生き方を改めること。そして、お金を稼ぐために、無駄な時間を使わないこと。お金は後から取り戻すことができても、時間は取り戻すことができません。当たり前のことではありますが、改めて言語化されることで、とても納得できました。
一方で、自分の過ごし方についても考えさせられました。本当に明日死ぬとしたら、今日を振り返って「これでよかった」と言えるだろうか。そう問われたとき、自信を持ってうなずくことはできませんでした。自分の一日の過ごし方を、一度考え直す必要があると感じました。
本書でも言われていた通り、大人になるにつれて、楽しむことを忘れてしまいがちです。これは、自分自身も感じていたことでした。これからは、今という時間を大切にし、楽しめるようになりたいと思います。そして、その積み重ねの先に、後悔しない生き方をしていきたいです。
この本のおすすめ度(☆3)
内容は非常に良かったと思います。ただ、「今を大事に」といった内容の本は、世の中に大量にあります。その中で、特別に読みやすいなど、内容以外の部分での良さを、自分はあまり感じることができませんでした。また、仏教的な視点というところが、自分にはあまりしっくりこなかったのだと思います。逆に言えば、仏教に詳しい人や、仏教の考え方に興味がある人にとっては、今を大事にすることを学ぶうえで、おすすめしたい一冊です。